ジャニーズ問題に関しては、よしりん先生も
「文章ではニュアンスが伝わりづらいから、生放送でやる」
と言っていますし、「セカンドレイプだ」とか言われても、
「あぁ、慰安婦問題の時とそっくりの流れだなぁ」と
既視感しかないのですが、さすがに下記の記事には
ムカムカしました。
◆山下達郎がズレた“ガンコおやじ”的発言で失ったものとは?桑田佳祐らの「時代への柔軟さ」と真逆
https://news.yahoo.co.jp/articles/2f7234c0f949ff37bbc8523bfe36828c258e37e2
記事では、今回の山下達郎氏のジャニーズ擁護発言について、
「山下達郎氏は時代を読み間違えている」「同時代性を失った」
「ポップスの作家として致命傷だ」などとボロクソに書いています。
そもそも、本当に山下達郎の音楽を好きで追いかけてきた人は、
今回の発言自体をどう思ったとしても、山下達郎の音楽は
好きでい続けるはずです。
この発言を受けて、今まで好きだった音楽まで嫌いになり
聞かなくなるようなら、それこそ山下達郎が言うように
「そういう方々には私の音楽は不要」なのでしょう。
それに、「山下達郎氏はジャニーズ関連でこんなに売り上げていて、
ズブズブの関係なんだぞ~!」とか言いますけど、
あなたたちマスコミはどうなの??
ジャニーズを使って、どれだけ儲けていたんですか??
「ジャニーズの闇」を知っていても、ジャニーズタレントを
使って商売したいがために、見て見ぬふりしていましたよね?
どの口で「“ズブズブ”の関係」とか言っているんでしょうか?
「山下氏に決定的に欠けているのは、時代を正しく認識する力」
「この数年で価値観は大きく変化している」
「コンプライアンスやポリコレを受け入れ、時代の流れに沿え」云々、
果ては、ファッションにまでケチをつけ始め、
「今の価値観に沿って生きていない」と批判する…
もうこれには、芸術家やミュージシャン、創作者のことを
何もわかっていないのだと呆れるばかりです。
創作者の感性や個性、独自性をどう考えているのでしょうか?
芸術家の感性や独自性が、時代に沿っていなかった場合、
新しさが受けて売れるかもしれない。
ゴッホのように生前はまったく売れなかったのに、
死後、天才と評価される人もいる。
何より、時代がどうこうよりも、まず自分が、
表現したくてたまらない衝動がある、
それが表現者というものでしょう。
そういう表現者が豊かな文化を作っていくのはないですか。
千原ジュニア氏が、コンプライアンスやポリコレなどで
どんどん浄化されていく芸能界について語ったという
「いつの時代も『昔のほうが良かった』という奴らが
必ず出てくる。でも改善を求めたのはお前らちゃうんかって
思いますね。
それでもそれをクリアしながらちゃんとほんまに面白い笑いを
起こす芸人はいっぱいいますよ」
という言葉を、時代を受け入れた正しい例として挙げていますが、
私は、これは、前半は皮肉であり、
後半は「それでも面白いと言わせてやる」という芸人の矜持だと
受け取りました。
先日、よしりん先生の『恋愛論・完』を読んでいて
改めてハッとさせられたのが
「戦後民主主義がまん延して、人間の質がどんどん
平準化していく。破天荒とか、型破りな表現者がいなくなる。」
という一文です。
まさに今、コンプライアンス、ポリコレ、
キャンセルカルチャー等によって、世の中がどんどん
面白味のない世界になっているなぁと思います。
一見、一般人の常識から掛け離れていて、理解できないものでも、
実はそこに物事の本質や人間の本性が潜んでいて、「常識」と
思い込んでいるものを揺るがしてくる、そんな作品や現象は
たくさんあるはずです。
確かに、時代の変化は止められないですし、
それによって様々な業界の闇の部分にもどんどん光が当てられ、
一見、綺麗な世界になっていくのでしょう。
しかし、それで本当に豊かな文化は生まれるのでしょうか?
「常識」を揺るがす驚くような作品は生まれるのでしょうか?
「創造」とは何なのか?
「表現者」とは何なのか?
大阪での「独演会」や「よしりん・チェブリン、悪のタッグ」を
楽しみにしたいと思います。